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【屋根用語シリーズ】野地板について①

野地板(のじいた)とは、屋根の下地となる建物の重要な構造部分の一つです。野地板がぶ厚く強いほど、屋根材が吹き飛んだり屋根の上に設置されるソーラーパネルによる建物の破損を防いでくれますが、あまりぶ厚くなると重量が増えて他への影響も出てくるため、建物の構造によって最適な野地板材が設計段階で選択されています。

野地板の種類

現在主流の野地板の種類は、大きく分けて3種類あります。

まずは大昔から日本建築の野地板として使用され、いまも好んで使われることも多い「杉板」。バラ板とも呼ばれる木材で、幅が均一であったりなかったりとバラバラなのでこうも呼ばれています。

幅は10~20㎝ほどの狭いもので、厚みは12mm。バラ板の最大のメリットは「耐久性」にあり、屋根材やルーフィングからの雨漏りや湿気による悪影響が少ない条件ならば、かなり長期間にわたって使用することができます。実際に、築100年以上の家屋の解体工事や改修工事を何度か行った際にも、杉板の野地板がしっかりとその強度を保っていた事例は少なくありません。

デメリットとしては、施工に手間がかかること、現在の木材価格の高騰や林業の衰退などの影響から、コストがかかるなどがあげられますので、後述する「構造用合板」が主流になってきています。

杉板(ばら板)を野地板とする建物の内観

続いては「構造用合板(こうぞうようごうはん)」です。合板とは、「ベニヤ板」「コンパネ」などの通称で知られる、主に3尺×6尺、畳の大きさと同じ910㎜×1820㎜の大きさの木材です。厚さは12mm一択です。合板は、その名の通り薄い木材や木の皮をボンドで貼りあわせて圧縮してできた人工の建材で、野地板のみならず内装や家具、コンクリート型枠などさまざまな用途で使用されています。

構造用合板のメリットは、品質が一定であること、施工がしやすいこと、価格が広さあたり安いこと、雨漏りのリスクを最小限に抑えることなどがあげられますので、一般的な住宅の野地板はほぼこれで決まりでしょう。一方でデメリットとしては、びっしりと敷き詰めるため屋根裏の通気性が確保しにくいこと、やはり合板ですのでボンドの寿命が切れると軟弱になって経年劣化が避けられないことなどがあげられます。構造用合板の野地板の寿命は、30年~40年と言われています。

野地板の構造用合板貼り

最後は、「耐火野地板」です。文字通り、燃えにくい材料を使用した野地板で、建築基準法で定められている準防火地域もしくは防火地域では耐火野地板の使用が義務付けられています。

耐火野地板は、木毛セメント板や木片セメント板といって、薄く細かい木片をセメントで固めたもので、セメント100%よりは軽く持ち運びがしやすくなっていますが、それでも重いのが特徴です。代表的な商品は、ニチハ株式会社の「センチュリーボード」です。

都市計画において火災による延焼を防がなければいけない地域の場合、この耐火野地板の仕様が義務付けられている可能性がありますので、新築や改修の際には要確認です。

ニチハ株式会社「センチュリーボード」

以上、野地板の種類についてでした。野地板のテーマ、つづく

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