屋根材にはさまざまな材質があります。日本古来の瓦は粘土、カラーベストでおなじみのスレートはセメント系と繊維質、アスファルトシングルはグラスファイバーとアスファルト、最近住宅でも急増しているガルバリウム鋼板などの金属屋根・・・
今回は、ブログ筆者がとある資格取得で勉強中の、モノの性質に関する言葉「靭性（じんせい）」と「脆性（ぜいせい）」という観点から、材質それぞれの壊れにくさについて考えたいと思います。
じん性、ぜい性とは？
「靭性（じんせい）」と「脆性（ぜいせい）」は、反対の意味を有する言葉同士です。ともに材料の壊れ方の特性についての言葉で、簡単に言うと「じん性」は粘り強い、「ぜい性」はもろく簡単に壊れる、という感じです。じん性がある方が強いというイメージで良いかもしれません。
もう少し詳しく言うと、それぞれの物体を同じような攻撃で変形させようとした時に、「じん性」は、ダメージを受けながらも壊れずに変形してなかなか破壊されないというような性質。「ぜい性」は、ダメージを受けるとあまり変形しないうちに破壊されてしまうような性質です。
たとえるならば、金属は「じん性」が高いですから、薄い金属の板に力を加えると伸びたり凹んだりするものの、ある限界がくるまでは変形し続けてなかなか破壊されません。一方でガラスは「じん性」が低い（ぜい性が高い）ので、薄いガラスの板に力を加えると、ある限界がくるまでは変形せずに「大丈夫かな？」と思わせますが、限界がくるといきなり粉々になる。ガラスは「ぜい性」の典型的なパターンです。
屋根材それぞれのじん性、ぜい性は？
それでは、代表的な屋根材ごとの特性について見ていきましょう。
まずは、じん性が比較的高い屋根材からです。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、亜鉛とアルミニウムの合金被覆によって保護された鋼板であり、じん性があります。じん性は、材料が外部の力や圧力に対して弾力的に応じる能力を表します。
ガルバリウム鋼板は、通常の鋼板よりも耐食性が高く、さらに耐久性もあります。この耐久性とじん性の組み合わせにより、ガルバリウム鋼板は屋根、外装、フェンス、建物の構造など、さまざまな用途に広く使用されています。ただし、じん性には限度があり、極端なストレスや衝撃に対しては限定的な変形しか許容できません。適切な取り扱いとメンテナンスが行われれば、ガルバリウム鋼板は長寿命で信頼性の高い材料として知られています。
アスファルトシングル
アスファルトシングルは、一般的にじん性があり、柔軟性がある特性を持っています。これは、アスファルトがシート状の基材に染み込んでいるためです。アスファルトは一般的な気象条件や温度変化に対して相対的に適応性があり、夏の高温や冬の寒冷な環境にも対応できるため、じん性が高いとされています。
アスファルトシングルのじん性が重要な理由は、建物の屋根が日々の気象条件にさらされ、温度の変化や風、雪、雨などによるストレスに耐えなければならないからです。じん性があることで、シングルが軽微な変形や拡大収縮に対応し、長期間にわたって耐久性を保つことが期待されます。ただし、アスファルトシングルも時間とともに劣化する可能性があり、特に長期間の曝露や極端な気象条件にさらされると、じん性が低下することがあります。
次に、比較的ぜい性が高いといえる屋根材について見ていきましょう。
瓦
瓦と一口に言ってもさまざまな種類の瓦が含まれ、製造方法、材質、デザインなどが異なります。したがって、一般的に「日本瓦」の脆性について具体的に言及することは難しいです。
しかし、伝統的な瓦の中には一般的に脆性があり、外部の衝撃や急激な温度変化に対して割れやすいものがあります。これは瓦が一般的には粘土や陶土などで作られており、これらの材料が比較的脆性が高いからです。ただし、製造プロセスや特殊な処理を施したり、新しい技術が導入されたりすることで、近年の瓦の製品は強度や耐久性が向上している場合もあります。また、伝統的な瓦はその美観や通気性などの特性から今でも重宝されています。
カラーベスト（化粧スレート）
カラーベストは、商品名なので正式名称で言うと「平型化粧スレート」というスレートの一種です。スレートは、主にセメントとケイ石とよばれる天然材料、それに繊維質原料（アスベストではない）を混ぜて成型されたものです。繊維質を混ぜることで、じん性を補おうとしているわけですね。ですが、やはり経年劣化や紫外線その他外的要因により、メンテナンスなどで足で踏むとパキっと割れてしまう可能性が高い、じん性の低い材料です。
じん性を含めた最強の屋根材はガルバリウム鋼板屋根！
今回はじん性とぜい性について考えましたが、やはり屋根材に求められるのは「じん性」ということもお分かりいただけたと思います。ぜい性はあまり望ましいものではありませんが、ぜい性の高い物、低い物、色んな材料が助け合って、強度を補いあっていることも分かります。
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