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【板金用語シリーズ】板裁ちとは?

我々の職業である「建築板金」とは、薄い鉄板を切ったり曲げたり加工した部材を取り付け、屋根や外壁を作り上げる職人たちのことです。今回より、板金用語シリーズとして、その言葉の意味と、職人の世界についてご紹介したいと思います。

「板裁ち」のことで頭がいっぱい!?

「板裁ち」とは、「いただち」と読みます。裁つとは「切る、断つ」という意味で、「裁ちばさみ」の時くらいしかあまり見ない漢字の使い方ですね。要するに、鉄板をどのような長さや幅で切るか、その切り方のことを「板裁ち」と言います。

どんなものにも「定尺」(ていじゃく)と言って、市場に流通させるためにはある程度最初から決まった寸法があります。たとえば、食パンの一斤・一枚のサイズはだいたい同じ大きさだったり、鉄道のレールの一本あたりの長さは25メートルと決められてあったり。。。規格ってやつですね。

建築板金で使用され、屋根の折板や外壁のスパンドレルに加工されていく、現代の主流となっている「ガルバリウム鋼板」にも、定尺というものが存在しています。もともとの姿はコイル状ですので、長さはいくらでも長くすることができますが、幅は一般的に流通しているコイルで914㎜と定められています。加工される前のコイル状の鉄板は「原板(げんいた)」とも呼ばれ、その定尺幅は「原板巾(げんいたはば)」と呼ばれます。

コイル状の原板「ガルバリウム鋼板」

この、幅914㎜をいかに無駄にすることなく「板裁ち」し、目的の製品に加工していくかということが、板金職人の腕にかかっているというわけですね。切断機で縦方向に切断していくと、だんだんと中途半端に使いものにならない細さになっていきますが、そうしたムダを「材料ロス」と言って、そのロス率が大きくなるほど、原価額にも影響して良い利益を生み出す事ができなくなります。

製品から見る「板裁ち」の例

そこで、細かい加工品を作りだしていく我々板金職人は、ロスがでないような計算をした上で加工品を生産したり、場合によっては最初からロスがでないように図面の仕様を変更するといったこともします。

屋根材や外壁材を作り出す大手各メーカーも、もちろんこのようなことを考慮した上で商品ラインナップを展開しています。

まず、原板巾そのままを加工したものは、代表的なものに「88折板(ハチハチせっぱん)」があります。波の高さが低く、小規模なガレージや駐輪場、工場や倉庫などいたるところでよく見かける屋根です。働き巾といって、一枚の有効巾が600㎜あるので、仕事の進み具合が断然早いです。

(引用)セキノ興産株式会社 重ね折板 SS-600

つぎに、原板巾を2等分して作られる代表的な商品は「たてひら333」です。長尺にも対応し、流れ方向に葺き、板同士を「パチン」と合わせて貼っていく、鋼板屋根の中でももっともオーソドックスな形状で雨漏りの少ない種類の屋根です。

(引用)JFE鋼板株式会社 住宅屋根 立平333

最後に、原板巾を3等分して作られる代表的な商品は「スパンドレル」です。スパンドレルは、外壁下地とを固定するビス部分がジョイントに隠れるので、金具が見えない美しいデザインですが、固定位置がジョイント部だけになるので、そのぶん働き(有効巾)は広く取れません。原板305㎜をさまざまな形状に曲げ加工したものを、職人が外壁や天井などに貼ります。

美しいデザインが特徴のスパンドレル

このように、一枚の原板を「板裁ち」して、さまざまな製品に加工していくわけですが、単純な屋根形状ならそれほど苦心しないにしても、屋根の形状は建物によってさまざま。ななめ部分や複雑な形状になってくると、ロスを少なくするのも簡単ではありません。

ミツルリフォームでは、たとえ住宅リフォームであっても細部にわたるまで入念に図面を起こして計画し、なるべくロスを生み出さないように材料発注をするため、おおざっぱなどんぶり勘定をせず適切な原価額を割り出すことができます。職人のきっちりさに左右されるこの「板裁ち」、表面には出てこない部分ですが建築板金として大切な概念であることをお分かりいただけたでしょうか!

最後までお読みいただきありがとうございました。屋根、外壁をはじめとしてお住まいについてお困りのお客様は、何でもお気軽にご相談いただければと思います!

本日もブログをお読みいただき、ありがとうございました!このブログでは、皆さんに屋根リフォームに興味を持っていただけるような内容を発信しています。今後もぜひチェックをよろしくお願いします!

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