「役物(やくもの)」という言葉は、おそらく建築に携わる方でないと聞いたことのないであろう建築用語です。役物とは、規格や定尺といったベーシックな形ではない特殊な形状、特定の位置や用途に使用される特別な部品のことを言い、屋根業界以外に、コンクリート製品やタイル、レンガなどの業界でも使用される言葉です。
今回は、屋根をおさめるのに一般的に取り付けられている役物の代表的なもの、その役割などについてご紹介いたします。
役物の種類と役割
一般的な住宅のうち、瓦屋根以外の「カラーベスト」「ガルバリウム鋼板」などの屋根には、必ずといって良いほど、以下の画像のような部分には、各所に金属鋼板製の「役物」が取り付けられています。
一般住宅における「役物」の代表的な一例
上記の屋根は「寄棟(よせむね)屋根」の形状ですが、その他の「切妻(きりづま)屋根」や「片流れ屋根」だと、画像以外にも「ケラバ」という部分が新たに加わります。屋根の形状によって、呼ばれ方や機能が違う役物が登場しますが、今回は寄棟バージョンです。
全体的な役物のはたらきは、以下の3つが挙げられるでしょう。
- 雨水を抑える:カラーベストやガルバリウム鋼板の定尺品を貼り付けていくと、必ずコーナーや端部といった部分が生じます。その箇所は、雨水が入ってしまう場所となるので、上から役物を覆いかぶせることで、雨水の浸入をふせぎます。
- 屋根材を固定し、耐風性を高める:端部やコーナーといった箇所は、隣り合う部材同士を固定し合うことができません。そこで、役物を上からかぶせて固定することで、端部からの風の浸入をふせぎ、簡単にめくりあがるのを防止します。
- デザイン性:端部やコーナーを隠し、やりっぱなしで終わらせないスッキリとしたデザインにするためにも、役物の存在は欠かせません。
役物の弱点とメンテナンス
屋根の中でも、雨水の浸入や風で吹き飛ばされやすい場所が、実は「役物」部分です。特に、建物の中で一番高いところに取り付けられる「棟包み」は、風の影響を受けやすかったり、雨水や湿気による下地の腐食、太陽熱による変色や劣化など、さまざまな外的要因によって被害を受けます。
また、「棟包み」や「ケラバ包み」「雨押え」などは、取付けるための下地に安価な木材を使用していることが多いです。木材はお分かりの通り、水や湿気などで数年で劣化してしまう弱いものです。そうした木材に釘やビスなどで固定されている役物は、下地木材の経年劣化によって、ものすごく外れやすくなっている可能性があるのです。
新築時は、ほとんどと言ってよいほど、コストカットのために木材が使用されます。最近は、木材よりも耐久性がはるかに高い「樹脂製」のものや、アルミ、ステンレスといった高強度な下地のラインナップもありますので、長く保ちたいかたにはぜひオススメです。
台風などによって飛ばされ、近隣の御迷惑になったりしないよう、最低でも10年に一度は下地ごと交換することをオススメします。屋根業者のほとんどは、棟板金だけの交換という小規模工事を承ってくれるお店が多いでしょう。
サビサビの棟包みと、その下地木材が腐食してやせている
役物は既製品もあるが、最終的には職人の技術で加工する
最近では、「役物」といっても既製品のラインナップが充実しており、難しい形の役物を工事前に加工する職人さんは昔に比べて減りました。
ですが、いくら既製品とはいえ、屋根の形状や複雑な条件などによっては、最終的に屋根職人の手で切ったり曲げたりして、現場で加工することはよくあります。そうした時に、板金加工の技術が問われるわけです。
日本には、「建築板金技能士」という国家資格が存在し、この役物加工技術の認定制度が取られています。簡単な形状の一般住宅などでは必要ないかもしれませんが、複雑な条件や非住宅のおさまり、デザイン性にこだわりたい場合は、まず「一級建築板金技能士」が施工してくれるかどうかはしっかり確認しましょう。きっと、資格のあるなしでは、仕上がりに大きな違いが出るでしょう。
326リフォームは「一級建築板金技能士」が手加工、施工いたします!
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