皆さんは「毛細管現象」という言葉を耳にしたことがありますでしょうか?これは日常のさまざまなシチュエーションで見られる物理現象の一つで、この現象によって雨漏りを引き起こす場合があるのです。
今回は、水が思いもよらない動きをとることによって起こりうる、どんなお家でも発生する可能性の高い「毛細管現象による雨漏り」について考えていきます。
毛細管現象とは?
毛細管現象は、細い管や毛細管内の液体が、重力に逆らって上昇または下降する現象です。水が下降するのに対してはあまり問題がありませんが、特に屋根にとっては水が上昇する、これが問題になる場合が多いです。この現象は、液体の表面張力と管内のキャピラリー(毛細管)の直径によって決まります。
水にストローを差すと、ストロー内部の水面がコップの水より高くなっていることがあります。実はこの現象が屋根の表面でも発生する可能性があるのです。
他にも以下のような実例が毛細管現象の説明となります。
- ティッシュやタオルでこぼした水を拭き取る:水をこぼしたら、ティッシュやタオルで拭き取りますよね。これは「毛細管現象」が活躍している例です。ティッシュやタオルには細かい穴が開いており、その穴が管の役割を果たして水を吸い取っているのです。
- クワガタが昆虫ゼリーを食べる:クワガタの飼育経験がある方はご存じかもしれません。クワガタが昆虫ゼリーを食べているとき、口元を観察すると、まったく動いていません。実は、クワガタの口にはブラシ状の毛の束があり、この毛の隙間が「毛細管現象」を起こしています。毛の隙間から這い上がる樹液を食べているのです。
- 注射で血液を採る:注射器で血液を採る際にも「毛細管現象」が一部利用されています。注射の細い管状の針が、血液を吸い上げているのです。
屋根に起こる毛細管現象
前述のとおり、要するにある条件のそろったスキマには水が通りやすくなってしまうということですね。その条件とは、毛細管現象が起きてしまうスキマの細さにあります。
カラーベストなどのスレート系屋根材は、軒下から棟にかけて重なるように張り合わせていく屋根の代表的なものです。そのスレートの重なり部分には毛細管現象が起こらないよう、適切な隙間を設けてあげる必要があります。
新しく屋根を張った直後は、適切な隙間ができるよう設計されているので問題ないのですが、経年によって汚れが溜まったり、苔が生えてしまうとこの隙間は狭くなっていき、毛細管現象が発生しやすくなるのです。また、屋根塗装する際は塗料によっても狭くなってしまいしまいますから、しっかりと隙間を作ってあげなくてはいけません。この作業を縁切りと言います。
カラーベスト屋根の塗装
昔は金属製のヘラ状のものを重なり部分に押し込み、隙間を作っていましたが、現在では「タスペーサー」というものを挿入し、隙間を確保します。スレート屋根を塗装する際、縁切りするのは屋根工事業者として常識です。現在ではだいぶ減りましたが、一昔前までは縁切りのことを知らない塗装業者もいたそうです。その証拠に今でもお住まいを点検に訪れると縁切りされていないスレート屋根を見かけます。
また、数年前に他業者が屋根塗装してから雨漏りするようになったというご相談もいただきます。 屋根塗装と言ってもただ塗れば良いワケではないのです。それぞれの屋根材の特徴を知り、それに合わせた適切な工事が必要です。お住まいがスレート屋根の方は屋根塗装する際にタスペーサーを使うかどうかを必ず確かめてください。
今回は、主に化粧スレート系屋根に起こる毛細管現象についてご紹介しましたが、他にも板金部分やサッシなどの水切部分など、さまざまな部分で起こる可能性の高い現象です。そういったリスクを未然に想定して施工のできるプロにリフォームしてもらえるよう、業者選びをしていただきたいと思います!
私たち326(ミツル)リフォームでは、屋根に関することはどんなことでも承っております!些細なことでも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください!
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